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福島地方裁判所 昭和37年(行)8号 判決

原告 羽根石ハナ 外二名

被告 福島県教育委員会

主文

原告らの請求はいずれも棄却する。

訴訟費用は原告らの負担とする。

事実

一、当事者の求める裁判

(原告ら)

本位的請求として、

被告が原告ら各自に対し、昭和三五年三月三一日なした退職処分は無効であることを確認する。

訴訟費用は、被告の負担とする。

予備的請求として、

原告らが福島県公立学校教員(講師)であることを確認する。

訴訟費用は被告の負担とする。

(被告)

主文同旨の判決

二、当事者の事実主張

一、原告羽根石は明治四一年五月二〇日出生し、中学校教諭二級普通免許、高等学校教諭一級普通免許を有し、昭和三年一一月二〇日以降、福島県内の小中高等学校の教員として勤務してきたが、昭和三〇年三月三一日福島県立信夫高等学校教諭を最後に退職し、同年四月二日付をもつて同高校講師に任用せられ、そのご、次のとおり経過した。

三〇・一〇・一 三一・三・三一 期間更新

三一・ 四・一 〃 ・九・三〇 県立信夫高校講師に採用

〃 ・一〇・一 三二・三・三一 期間更新

三二・ 四・一 〃 ・九・三〇 県立信夫高校講師に採用

〃 ・一〇・一 三三・三・三一 期間更新

三三・ 四・一 〃 ・九・三〇 福島県立公立学校教員に任命

県立農蚕高校講師に補職

〃 ・一〇・一 三四・三・三一 期間更新

三四・ 四・一 〃 ・九・三〇 福島県公立学校教員に任命

県立農蚕高校講師に補職

〃 ・一〇・一 三五・三・三一 期間更新

原告山下は明治三五年一月四日出生し、大正一〇年四月一六日教職につき、そのご、神奈川県下および台湾の公立学校教員として勤務し、昭和二一年五月三一日以降は福島県において小学校教諭の職にあり同二八年三月三一日一旦退職し、そのご、次のとおり経過した。

自昭和二八年 四月 一日 至昭和三四年三月 三日 福島県相馬郡駒ケ嶺公立学校教員に任命

駒ケ嶺小学校講師に補職

三四・ 四・一 〃 ・九・三〇 福島県相馬郡新地村公立学校教員に任命

同村立駒ケ嶺小学校講師に補職

〃 ・一〇・一 三五・三・三一 期間更新

原告遠藤は明治三三年一〇月二四日出生し、昭和二六年五月一日福島県耶麻郡加納村公立学校事務職員に任命され、そのご、耶麻郡および喜多方市内の小中学校事務職員として勤務、昭和三四年三月三一日一旦退職し、そのご、次のとおり経過した。

自昭和三四年 四月 一日 至同三四年九月三〇日 福島県耶麻郡北塩原村公立学校教員に任命

同村立北山中学校講師に補職

〃 ・一〇・一 三五・三・三一 期間更新

二、ところが、任免権者たる被告は、原告らに対し、各昭和三五年三月二八日付「任用期間満了による退職通知」と題する書面で、被告委員会教育長名をもつて、「福島県公立学校教員としてのあなたの任用期間は、昭和三五年三月三一日限り満了し、あなたは同日をもつて当然退職となりますので通知します。なお、昭和三五年四月一日以降あなたを福島県公立学校教員として採用する意思のないことを申し添えます。」と通知してきた。

三、しかしながら被告のなした右退職処分は次の理由によりいずれも無効である。すなわち、

(一)  右通知は期限付任用を前提とするものであるところ、被告が原告らを講師として任用するに際し六ケ月の期限が付されていたことはなく、被告は原告らに交付する辞令に一方的に期限を記入したもので、原告らは自ら退職を希望するまでは引続き勤務しうるものと信じ、期間満了による失職は全く予期していなかつた。

従つて被告による原告らの講師としての任用は無期限のものであり、六ケ月の期限が付されていることを前提とする被告の右退職処分には明白かつ重大な瑕疵があり無効である。

(二)  仮りに六ケ月の期限を付することを原告らが承諾していたとしても、地方公務員法(以下「地公法」という)によれば、地方公務員の任用については、常勤の公務員である限り、条件付採用および臨時的任用の二つの方法以外はこれを許さず、任用について期限を定めた所謂期限付任用なるものは存在しないから、右の期限の点は地公法違反で無効である。すなわち、

1、地公法には、期限付の任用について、直接明文の規定はないが、特に条件付採用及び臨時的任用の制度を認めている点からみて許さない趣旨である。すなわち条件付採用は任用がすべて無期限であることを前提とし、その結果、一回の試験又は選考により不適任者が無期限にその地位を占める場合の生ずることを防ぐ趣旨に出るものであつて、その反面において任用はすべて無期限であることを示すものであり、期限付任用を認めることは、この制度の趣旨と抵触するものである。次に臨時的任用の制度もまた同様に、任用が一般に無期限であることを前提として始めて意味があるもので、もしすべての任用に随意に期限を付し得るものとすれば、このような制度を特に法律で認めることは意味がないものといわなければならない。

殊に臨時的任用制度につき地公法第二二条第二項ないし第四項並びに福島県人事委員会の職員の任用に関する暫定規則第三三条(昭和三〇年二月一日規則第四号)に厳重な制限が定められている点や、更にまた公務員の任用にあたり、自由に期限を付することができるものとすれば、公務員の身分を保障する規定は、ほとんど無意味と化し、一旦公務員として任用された者については、法律の定める事由によつて免職するの外は、原則としてその身分を保障し、任命権者の裁量によつて公務員の身分を剥奪する等公務員に不利益な処分をなすことを抑制する地公法の精神は骨抜きとなることは明らかであるから、かかる期限付任用は法律上許されないところである。

2、ところで、原告羽根石は昭和三〇年三月三一日、同山下は昭和三四年三月三一日一旦講師を退職し、改めて直ちに講師に任ぜられたのであるから、その任用の性質は明らかに採用であるが、この場合の採用は、教育公務員特例法第一三条の二によつて条件付採用とはしないとせられているから、条件付採用でなく、教諭と講師に任用する場合には、これに期限を付けることは、絶対に違法であり、期限を付けてもその期限は無効で、その任用は無期限の任用となる。従つて更新の手続も必要ではなく、更新の手続をしても、それは無意味である。

また原告遠藤は、昭和三四年三月三一日事務職員を免じて、翌四月一日講師として採用したのであるから、その採用は、地公法第二二条所定の条件付採用であり六ケ月の期限を付したことは違法でなく、これを経過すると同条第一項により正式任用となるのであるから更新することは正式採用を意味するもので被告が同年一〇月一日これを更新したことは違法ではないがこの場合の任用の期限を六ケ月としたことは法律上無意味であるし、正式任用となつた講師に期限を付したことは違法無効である。

従つて有効に六ケ月の期限が付されていたことを前提とする被告の退職処分には明白かつ重大な瑕疵があり無効である。

(三)  仮りに期限付任用を必要とする特段の事由が存し、且つそれが身分保障の趣旨に反しない場合には期限付任用が許されるとしても、本件は右の場合に該当しない。すなわち、

(1)  被告は期限付任用が許される根拠として最高裁判所昭和三六年(オ)第一、三〇八号昭和三八年四月二日判決を挙げるが、右判例に摘示された具体的事実関係は本件のそれと異るから、先例としての拘束力はない。右事件は、地方公務員法の職員任用に関する規定の適用を受くる以前において既に期限付任用を承諾し、更に文書を以て期限付で退職する旨確約し、その後昭和二八年六月一三日以降右身分保障の適用を受くるにいたつたという身分保障のなかりし者が更新後退職確約後に至り漸く該身分保障の適用を受くる職員になつたという特殊の事案である。

(2)  しかるに本件原告らは、いずれも当初より地公法による身分の保障を受けていた常勤の教諭であり、その後講師、又は事務職員に身分の切換えがなされたもので前記判例と異なる身分保障を有する職員であり、右判旨を以て本件を律することは到底できないことが明らかである。

(3)  なお、被告は、昭和三四年四月一日から同三五年三月三一日(原告らと同時期)に至る昭和三四年度において、小学校三四名、中学校一六名、高等学校四一名、合計九一名の多数に及ぶ期限付講師(含事務職員)を任用している。

被告のかゝる任用行為は、地公法に規定する教育職員の身分保障を全く骨抜きにするもので、前記判例のいう期限付任用の認められる限度を逸脱しており、到底許容できない違法の行政行為であつて、本件原告らに対する処遇を含め、一切無効というべきである。

四、そこで原告らは、被告の前記処分に対し福島県人事委員会に不利益審査請求をしたところ、同委員会は昭和三七年六月六日これを却下したものである。

五、よつて原告らは被告に対し右各退職処分が無効であることの確認を求める。

かりに、右通告の意思表示が退職処分ではなく、単なる任用期間満了によるいわゆる観念の通知にすぎないとすれば、任用における期限の定めが法律上何ら効力なきことは前述のとおりであるから、原告らは依然福島県公立学校教員(講師)の身分を保有するところ、被告はこれを否認し、教員としての職務より追放しこのため原告らは給与の支給等一切の権利を奪われているので、原告らが福島県立学校教員(講師)であることの確認を求める。

(被告の答弁ならびに主張)

一、請求原因第一・二・四項記載の事実は認める。

二、同第三項記載の事実中福島県下における昭和三四年度中小・中高校の期限付講師(含事務員)の数が原告ら主張のとおりであることは認めるがその余の事実を否認する。

(一)  被告が原告らをその主張する日に講師として採用するに際してはいずれも六ケ月という期限が付されており、原告らはいずれも右六ケ月の期限が付されることを承諾していたものである。

(二)  従つて原告らはいずれも期間の満了によつて何等の通告を要することなく当然に講師としての身分を失つたのであつて、被告のなした通告は行政処分と見るべきものではない。

(三)  原告らに対する期限付任用は次の理由によつて有効である。すなわち、

1、地公法の下において職員の期限付任用が許されるかどうかについては、法律に別段の規定はないが、同法がいわゆる条件付採用制度をとり(二二条一項参照)、また分限免職および懲戒免職の事由を明定して(二八条、二九条参照)職員の身分を保障していることや、特に臨時的任用に関する規定を設け、その要件期間等を限定していること(二二条二項参照)に徴すれば、職員の任用を無期限のものとするのが法の建前であると解すべきこと、原告主張のとおりであるとしても、同法の建前は、職員の身分を保障し、職員をして安んじて自己の職務に専念させる趣旨に出たものであるから、職員の期限付任用も、それを必要とする特段の事由が存し、且つ、それが右の趣旨に反しない場合においては、特に法律にこれを認める旨の明文がなくても、許されるものと解するのが相当である(最高裁判所昭和三六年(オ)第一、三〇八号昭和三八年四月二日判決)。

2、しかして本件について原告らを講師に採用した事情は、原告らは当時の県教育財政の困難を打開するためと、高令者を退職せしめて、若い有能な教員と交替せしめようとする被告県教育委員会の方針を容れて一旦退職したのであるが、原告らの退職後の経済事情を考慮し、原告らの要望によつて引続き講師として採用したものであつて、六ケ月の期限を付したのは、原告らが相当年令に達しており、長期にわたつて任用することは到底容れがたく、しかも六ケ月の期限付任用については原告らがそれぞれ了承していたためである。

三、証拠関係〈省略〉

理由

一、請求原因第一、二項の事実については当事者間に争いがない。

二、そこで、被告が原告らを講師として採用するについて六ケ月の期限を付したかどうかについて判断する。

(一)  成立に争いのない乙第三号証(鈴木義雄の供述部分)、第五号証(佐藤周吉・伊関秋雄の各供述部分)、証人伊関秋雄・鈴木栄一・佐藤周吉の各証言を総合すると、昭和二七年頃以来年度末の人事計画による退職勧奨に応じ退職した高等学校教諭を改めて講師として任用するに当つては常に六ケ月の期限を付し非常勤にしていたこと、原告羽根石を同三〇年四月二日非常勤講師として任用するに当つても前例に従い同原告の勤務していた信夫高等学校々長事務取扱伊関秋雄において同原告に対し六月の期限が付されることを説明し、同原告も右六ケ月の期限が付されることを承諾していたことが認られ、右認定に反する甲第二・三号証中原告羽根石の供述部分、甲第四号証、乙第五号証中証人渡辺四郎・瀬戸清の供述部分、乙第六号証中証人瀬戸清の供述部分、証人秦艶・瀬戸清・大西タカ・安斎正蔵の各証言および原告羽根石本人尋問の結果(一、二回)は前掲各証拠に対比して措信できない。

もつとも、前記証人佐藤周吉の証言によると、当時福島県教育委員会事務局学校教育課長であつた佐藤周吉は原告羽根石と交際して同原告が未亡人で、高校三年を頭に二人の子供をかかえ、その養育費等を要する事情を知つていた関係から、同原告に対し、講師任用には六ケ月の期限が付されているものの期限を更新することによつて相当期間にわたり勤務できるよう努力する旨言明したことは認められるが、これは右佐藤が単に同原告のため事実上努力することを約したにとどまり、講師任用の条件としたものとは解することができない。

(二)  成立に争いのない甲第二号証(山下繁の供述部分)、乙第三号証(証人玉川春雄・長田政愛の供述部分)、前記乙第五号証(証人寺島長利、横山忠夫、斎藤英雄、井上清光の各供述部分)によると、昭和三四年四月一日被告がいつたん退職した原告山下、同遠藤をそれぞれ講師として任用するに当つては、両名とも五五歳をこえていたので、法令に定のない期限付任用とし一年の期限を付することとし、右期限付任用については同原告らも承諾していたので、被告委員会においては、同原告らを各六ケ月の期限で任用し、一回限りこれを更新する方法をとつたことを認めることができ、右認定に反する甲第二号証中原告遠藤および証人外島千春、二瓶義呂の各供述部分は前掲各証拠に対比して措信することができず、証人遠藤[金圭]治の証言によるも右認定を左右するに足りない。

そうすると、原告らが講師として任用されるについて期限が付されていなかつたことを前提とする原告らの主張はいずれも理由がないものといわなければならない。

三、次に被告が原告らを期限付の講師として採用したことが地公法に違反するかどうかについて判断する。

臨時的任用ないしは非常勤職員の任用の場合を除き地方公務員の任用を無期限とするのが地公法の建前である(地公法二二条一・二項、二八条、二九条)との見地から期限付任用は地公法に違反するものであつて許されないとする見解もないではないが、地公法に期限付任用を禁止する明文の規定はないし、地公法が無期限の任用を建前としているのも、公務員として特別の人事管理に服せしめられることから、その意に反して不利益・不平等の取扱を受けないように身分を保障し、安んじて自己の職務に専念させる配慮に出るものと考えられ、職員の期限付任用も、これを必要とする特段の事由が存し、かつそれが右地公法の精神に反しない場合においては期限付任用も許されるものと解するのを相当とする。(最判昭和三八年四月二日民集一七巻三号四三五頁参照)

本件についてこれを見るに、前記甲第二号証(原告羽根石の供述部分)、乙第五号証(証人佐藤周吉の供述部分)、証人伊関秋雄・鈴木栄一・佐藤周吉の各証言を総合すると、被告は、教員には定年退職の定めがなく、高令者を罷免しもつて県の赤字財政の解消に寄与すると共に人事の刷新を図るために昭和二七年から退職勧奨の方法を活用してきたが、対象者が経済的に困窮している場合には酷でもあり、とうてい円滑なる運用は期待し得ないので、対象者が経済的に困窮している場合には、特に退職後改めて講師として任用し、後願の憂いをなからしめて退職させる必要から六ケ月の期間講師として任用することとし、対象者の境遇により右期間を更新するという方法を採用し、右の趣旨を実現するため、昭和二九年度人事計画方針として、五五歳に達した教諭および生活の比較的安定している婦人で夫の収入によつて生活できる者については恩給年限に達すると同時にそれぞれ退職を勧奨することを定めたこと、原告羽根石は昭和三〇年三月頃福島県立信夫高等学校教諭として勤務していたが、亡夫の恩給を受領していたことから、右退職勧奨対象者に準ずる者として取扱われ、同校々長事務取扱伊関秋雄から退職を勧奨された。しかし同原告は子供二人を養育中で職を離れることが困難であるとの理由でこれを拒否したので、右伊関は退職後前例に従い六ケ月の期間非常勤の講師として任用し、右期間は更新されるものである旨説得して退職を勧奨した結果同原告はこれを了承し、同年三月三一日付で教諭を退職し、同年四月二日月九、〇〇〇円の手当で同校の非常勤講師に任用されたこと、同原告は当事者間に争なき前認定の経過を経たのであるが、その間昭和三三年四月一日新たに県公立学校教員に任命され常勤の講師として六ケ月の期限を付されて県立農蚕高校に補職され、昭和三一年から昭和三五年までの間毎年退職の勧奨を退けてきたこと、以上の事実を認定することができる。

右認定に反する甲第二ないし第四号証中原告羽根石の供述部分、乙第五号証中証人渡辺四郎・瀬戸清の供述部分、乙第六号証中証人瀬戸清の各供述部分、証人秦艶、瀬戸清の各証言および原告羽根石本人尋問(一、二回)の結果は措信できない。その他右認定を左右する証拠はない。

以上認定事実によると、昭和三〇年四月二日から昭和三三年三月三一日までの原告羽根石の身分は非常勤講師であるからその採用に当り期限を付することができるのはいうまでもなく、また被告が同原告を昭和三三年四月一日常勤講師として任用するに当り六ケ月の期限を付したことは、これを必要とする相応の事由が存し、かつそれが地公法の精神に反しないものというべきである。

さらに前記乙第三号証(証人玉川春雄・長田政愛の供述部分)、乙第五号証(証人寺島長利・大堀鉄之助・斎藤英雄の供述部分)を総合すると、被告は昭和三四年三月頃原告山下・同遠藤がいずれも五五年に達したとの理由により両名に対しそれぞれ退職の勧奨をなしたが経済的困窮を理由にこれを拒否したので、退職後も一年間は講師として任用する旨重ねて説得したところ、同原告らはこれを了承し、同年三月三一日でそれぞれ退職し、同年四月一日六ケ月の期間を一回更新する予定のもとに六ケ月の期間講師として任用されたことを認めることができる。

右認定に反する甲第二号証中原告遠藤の供述部分、証人横山清一郎・外島千春・二瓶義呂の証言および原告山下本人尋問の結果は措信できない。

しかして、右認定事実よりすると、原告山下、同遠藤を一年の期限付で講師として任用したことは相応の事由が存し、かつそれが地公法の精神に反しないものというべきである。

従つて、原告らは右期間の終了によつて当然その資格を失うものというべく、被告がなした退職通知は単なる観念の通知に止まり、もとより行政処分と見ることができない。

四、そうすると、右退職通知が行政処分であることを前提にその取消を求める原告らの本位的請求ならびに原告らが福島県公立学校の講師の地位を有することを前提にその確認を求める予備的請求はいずれも理由がないから失当として棄却すべく、訴訟費用の負担について民事訴訟法八九条、九三条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 羽染徳次 橋本享典 中山博泰)

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